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2022.09.14 p型半導体への新しいドーピング方法を開発

東京工業大学 元素戦略研究センターの松崎功佑特任助教(研究当時。現:産業総合技術研究所主任研究員)、細野秀雄栄誉教授、同 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の熊谷悠准教授(研究当時。現:特定教授、東北大学教授兼任)、大場史康教授、角田直樹大学院生らは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の野村研二准教授と共同で正孔輸送材料の性能を向上させる等原子価の不純物を用いた正孔ドーピング法を開発した。

太陽電池に用いられている光吸収層や正孔輸送材料には高性能なp型半導体が必要であり、近年、その候補として一価の銅イオン化合物が検討されている。変換効率向上のためには正孔のドーピングが重要で、従来の方法では構成原子よりも原子価が低いイオンが不純物として用いられてきた。しかし、一価の銅イオンより低い価数(ゼロ価)のイオンが存在しないため、銅化合物への正孔ドーピング手法が確立されていなかった。本研究では、原子価は一価で銅と同じだが、サイズが大きいアルカリイオンのドーピングが正孔濃度向上に有効なことを実験的に見出し、その原理を第一原理計算により解析し、添加したアルカリイオンと銅イオンの空孔が結合した複合欠陥が正孔の供給源(電子のアクセプター)になることを明らかにした。これにより等原子価不純物を用いて、高い正孔濃度と正孔移動度を持つp型ヨウ化銅薄膜を塗布法で作製が可能となるため、ペロブスカイト太陽電池などの高性能な正孔輸送層への応用が期待される。

研究成果は米国化学会誌「
Journal of the American Chemical Society(ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサイエティー)」オンライン速報版に9月1日付で公開された。

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