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2020. 11.13 新たな高品質窒化ガリウム結晶育成法を開発

NIMSは東京工業大学と共同で、次世代パワーデバイスとして期待される窒化ガリウムの結晶成長において、欠陥を大幅に減らして高品質な結晶を得ることのできる新たな技術を開発しました。従来のような溶液中での成長ではなく、合金の液体を下地へ塗布して結晶成長させることで、不要な溶液成分が結晶中に残るという問題を解決しました。EV用モータ制御ユニットなど次世代パワーデバイスとしての実用化が期待されます。

窒化ガリウム半導体は、シリコンよりも大電流・大電圧に耐えることができるため、車載用次世代パワーデバイス等への応用に向けて精力的な開発が続けられています。しかし、従来の原料ガスを基板に吹き付ける窒化ガリウム単結晶育成法では、結晶中に原子のズレ(転位欠陥)が多く生じてしまい、大電流を流した際にその部分を起点にデバイスが破損してしまうという根本的な問題が生じます。そのため現在は、原料を含んだ溶液中で結晶成長させるアモノサーマル法やナトリウムフラックス法と呼ばれる合成法の開発が活発になっています。これらの手法では、転位欠陥といった原子レベルでの結晶のズレは最小限にできるものの、溶液成長特有の問題である「溶液成分が塊状に結晶内に取り残されてしまう(インクルージョン)という新たな課題の克服が問題となっていました。

本研究では、原料となる合金の液体を、基板に塗布しながら窒化ガリウムを成長させることで、インクルージョンの問題を克服しました。下地の基板にガリウムとナトリウムの合金液体を塗布しながら結晶成長させたところ、転位欠陥を大幅に減少させながら、さらにインクルージョンも含まない高品質な結晶の作成に成功しました。本手法は工程も非常にシンプルであるため、約1時間のプロセスによって高品質の窒化ガリウム基板を得ることができます。




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