トピックス

2020. 07.16 ニッケルを使った高性能アンモニア合成触媒を開発

東京工業大学 元素戦略研究センターの細野秀雄栄誉教授、同センターの叶天南(Tian-Nan Ye)特任助教、北野政明准教授らは、単独では活性を示さないニッケル(Ni)と窒化ランタン(LaN)を組み合わせることで、ルテニウムなどの貴金属触媒に匹敵する優れたアンモニア合成触媒を実現した。

これまでのアンモニア合成触媒は、高温・高圧下での合成には鉄が、温和な条件ではルテニウムが使われている。いずれの金属も窒素と強く結合するので、金属上で反応が生じていた。一方、窒素との結合がきわめて弱いニッケルは、窒素分子を活性化できないことからこれまで使用されてこなかった。本研究では、水素分子の活性化をニッケル上で、また窒素分子の活性化をLaN上の窒素空孔でそれぞれ行うことで、

きわめて高いアンモニア合成活性を実現した。これは、窒素空孔という新たな反応場を利用することで、単独では活性を示さない金属を用いて優れたアンモニア合成が実現できることを示し、従来の常識を覆す研究成果である。

近年開発された、温和な条件下で高いアンモニア合成活性を示す触媒は、いずれも貴金属であるルテニウムの担持が必要であった。本研究の成果は、希少で高価なルテニウムを用いない新触媒技術として重要であり、アンモニア合成プロセスの新たな可能性に繋がるものである。

研究成果は英国科学誌「Nature」に7月16日付(日本時間)でオンライン公開された。



詳細はこちら



 
  • 東工大元素戦略拠点
  • ACCEL
  • イベント
  • 関連リンク
  • 連絡先・アクセス
  • 関係者専用ページ