トピックス

2020. 05.20 自然磁気ヘテロ構造を利用した単層磁石へのアプローチ

東京工業大学 元素戦略研究センターのWu Jiazhen(鄔 家臻)特任助教と細野秀雄栄誉教授らは磁性元素Mn2+を含むMnBi2Te4層と非磁性のBi2Te3層がファンデルワールス力で結合したヘテロ構造(MnBi2Te4) (Bi2Te3)n(nは整数)をもつ物質を発見し、その単結晶合成に成功したことを昨年11月に米科学誌Science Advancesに発表している。

本研究ではその単結晶を用いて、非磁性層の厚さ(n)を調節することで、(MnBi2Te4)(Bi2Te3)nにおける磁性制御を行った。磁気的特性は交流磁化率を測定し、磁気モーメント緩和挙動を通して評価した。n=2,3の場合、外部磁場に対する明確な磁化率の緩和が観測された。これは層間距離が短いn=0,1の時には見られない現象であり、非磁性層を増やすことで層間のスピンカップリングを減らし、今まで得ることができなかったバルクの2次元磁石が実現したことが示唆される結果である。本物質は、エピタキシャル成長による薄膜を必要とせず、簡便なフラックス法により単結晶が合成できるので、トポロジカル物性と2次元磁石を研究するためのプラットホームになるものと期待できる。

本成果は独の科学誌Advanced Materialsの速報として4月24日にオンライン公開された。



詳細はこちら



 
  • 東工大元素戦略拠点
  • ACCEL
  • イベント
  • 関連リンク
  • 連絡先・アクセス
  • 関係者専用ページ