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2020. 01.27 高効率で安定な固体触媒「Y3Pd2」を活用

 この論文はNature CommunicationsのEditors' highlightsに選出されました

東京工業大学 元素戦略研究センター長の細野秀雄栄誉教授、同センターの叶天南(Tian-Nan Ye)特任助教、北野政明准教授らは、金属間化合物のなかで、電子が陰イオンとして働く電子化物(エレクトライド)であるY3Pd2(イットリウム・パラジウム)が、鈴木カップリング反応に対して高い活性と安定性をもつ固体触媒として機能することを見出した。電子化物はこれまでアンモニアの合成や分解、オレフィン類の選択的な水素化反応の触媒として有効に機能することが見出されてきたが、今回の研究成果により、電子化物の新たな適用範囲が広がったことになる。
炭素-炭素の結合形成は、有用な有機分子を合成するのに極めて重要である。その中でも鈴木カップリング反応は取扱いが容易で適用範囲が広いため、工業分野で広く応用されている。その触媒としては溶媒に溶けるパラジウムの錯体が一般的に用いられているが、パラジウムを含む固体で活性が高く安定な物質であれば、反応後に触媒の回収が容易になるなどのメリットがある。


掲載誌: Nature Communications
タイトル:Palladium-bearing intermetallic electride as efficient and stable catalyst for Suzuki cross-coupling reactions(鈴木カップリング反応に適した高効率で安定な触媒としてのパラジウム系金属間化合物エレクトライド)
著者:  叶天南(Tian-Nan Ye)、Yangfan Lu、肖泽文(Zewen Xiao)、李江(Jiang Li)、中尾琢哉(Takuya Nakao)、阿部仁(Hitoshi Abe)*、丹羽尉博(Yasuhiro Niwa)、北野政明(Masaaki Kitano)、多田朋史(Tomofumi Tada)、細野秀雄(Hideo Hosono)
(*高エネルギー加速器研究機構、他は東工大元素戦略研究センター)
DOI: 10.1038/s41467-019-13679-0



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