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国立大学法人 東京工業大学 国際先駆研究機構 元素戦略MDX研究センター International Research Frontiers Initiative (IRFI) MDX Research Center for Element Strategy (MDXES)
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2023.04.11 室温で二酸化炭素をメタノールへ変換できる触媒を創製

研究トピックス

2023.04.11 室温で二酸化炭素をメタノールへ変換できる触媒を創製

 

東京工業大学 物質理工学院 材料系の杉山博信大学院生、元素戦略MDX研究センターの細野秀雄栄誉教授、北野政明教授、笹瀬雅人特任准教授、宮﨑雅義助教の研究グループは、低温での二酸化炭素水素化反応を促進するPdMo金属間化合物触媒を開発し、0.9 MPaと25 ℃という温和な条件でのメタノール合成を実現した。
メタノールは化学工業における基幹物質として、ファインケミカルの原料や燃料添加剤などに用いられており、エネルギーキャリアとしても期待されている。一方で近年は、温室効果ガスである二酸化炭素をメタノールに変換する触媒プロセスがカーボンニュートラルの観点から注目を集めている。このプロセス向けの触媒は、簡便な合成法や、高い化学的安定性、二酸化炭素の低温での活性化促進、生成物の容易な分離等の条件を満たすことが望ましいが、その全てを満たす理想的な材料はこれまで報告されてこなかった。今回の研究で合成した、六方最密構造(hcp)を持つ金属間化合物であるhcp-PdMo触媒は、酸化物前駆体のアンモニア処理により簡便に合成でき、大気下・反応雰囲気下で優れた耐久性を示した。さらに、Pd触媒が活性を示さない100 ℃以下の低温域でのメタノール合成を著しく促進した。

研究成果は3月30日に米国科学誌「Journal of the American Chemical Society」に速報として掲載された。

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