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2014.3.27 固体中の「負の水素」H-イオンの検出法を確立

元素戦略研究センターの林克郎准教授、細野秀雄センター長らのグループは、固体中に生成される「マイナスの電荷をもった水素」(水素化物H-イオン)を、核磁気共鳴法(NMR)計測だけで簡単に特定する手法の確立に成功しました。NMRによる観測限界を、物質中の水素の周りの空間の大きさと対応付ければ補正できるという発見により実現しました。これを用い、歯や骨を構成する物質であるアパタイト中にもH-イオンが生成することを世界で初めて実証しました。

同グループは、これまでにも鉄系超伝導体の転移温度向上やセメント材料を母体とした透明導電膜を得るために固体材料中のH-の研究に取り組んできました。しかし実際にはH-の存在を証明するには大規模な研究施設での実験や、多数の間接的な実験証拠を積み重ねる必要があり、多大な労力を要していました。今回、未知のH-を明らかにする有効な手法を確立したことによって、H-イオンを含む新しい機能性材料の開発が加速されると期待されます。

この研究成果は24日発行の英国の科学誌「ネイチャー・コミュニケーション(Nature Communications)」に掲載されました。

雑誌名: Nature Communications

タイトル: Hydride ions in oxide hosts hidden by hydroxide ions(水酸化物イオンに隠された酸化物母体中の水素化物イオン)

著者:Katruro Hayashi、Peter V. Sushko、Yasuhiro Hashimoto、Alexander L. Shluger、Hideo Hosono
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