| ご挨拶
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科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業の新プログラムACCELの第一号課題として選定され、2018年10月から開始された「エレクトライドの物質科学と応用展開」は2018年3月をもってその研究期間を終了いたします。ACCELは“Top ScienceからTop Innovationへ”という理念のもとに発足した新プログラムで、世界で評価された研究成果をベースにして、その研究を加速して社会実装に繋げることを目的としています。 エレクトライド(電子化物)は、電子がアニオンとして働く物質の総称です。1983年にJames Dye 博士によって初めて合成され、exotic
materialとしてかなり関心を集め、一部の無機化学の教科書にも載るようになっています。しかしながら、化学的、熱的に不安定なことから物性研究は殆ど進展していませんでした。私たちは、2003年に室温・空気中で安定な電子化物を初めて実現し、これによって本格的な物性研究が可能になりました。 本プロジェクトでは、エレクトライドという物質コンセプトの拡張を図りながら、これまで明らかにしてきたユニークな物性を活用した、応用の可能性を集中的に研究しました。主な研究項目は以下の2つに大別されます ・アモルファス電子化物のエレクロニクスへの応用 具体的には有機エレクロルミネッセンスで障害となっている電子注入層/輸送層への検討とそれによる逆積みトップエミッション型OLEDの実現。 ・電子化物コンセプトを用いた化学反応への応用 温和な条件下でのアンモニア合成を可能とする新コンセプトの触媒の創製と選択分離膜との組み合わせによる新製造プロセス開発 詳しくは成果発表会の当日に紹介させていただきますが、いずれの研究項目も所期の目標を達成いたしました。また、社会実装も触媒については開発した技術を基に新社が設立され、電子注入用材料は企業によって上市が始まっています。これも参画されたメンバーの活躍とJST並びに東京工業大学のご支援のおかげです。厚く御礼申しあげます。 それでは成果発表会でお会いできることを楽しみにしております。 |
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11月1日 プロジェクトリーダー 細野 秀雄 プロジェクトマネージャー 横山 壽治 |
| 実行委員会
委員長: 細野秀雄
委員: 原亨和、瀬戸山亨、渡邉暁、阿部仁、横山壽冶
「エレクトライドに関するJST-ACCELシンポジウム -触媒とOLED-」は科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業ACCELプログラムにより実施されています。