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2022.01.31 IGZO-TFTに続く、薄膜トランジスタ技術の革新機軸の提案

東京工業大学 元素戦略研究センターの金正煥(Junghwan Kim、キム・ジョンファン)助教、細野秀雄栄誉教授らは、溶液の塗布法を用いた高性能pチャンネル薄膜トランジスタ(TFT)の開発に成功した。

ディスプレイなどに用いられるTFTにおいて近年もっとも注目されているのが、n型半導体として機能するアモルファス酸化物半導体InGaZnO(IGZO)であり、既に高精細液晶ディスプレイや有機ELテレビなどで広く実用化されている。さらに、昨今では論理回路などに必要となるCMSOの応用にも期待がかかるが、そのためにはn型半導体と対をなすp型半導体の機能向上が必要不可欠である。

今回の研究では、ペロブスカイト型ハロゲン化物の優れた輸送特性に着目し、2次元ペロブスカイトのPEA2SnI4と、3次元ペロブスカイトのFASnI3という2つの物質の両方の長所を発現させる微細構造をデザインした。両者は「移動度とキャリア制御性」において相反する特性を示し、小さい電界移動度もしくはスイッチオフが出来ないといった問題点を抱えているが、今回開発した方法では両者の利点を生かし、欠点を補い合うことに成功した。結果的に、従来の酸化物TFTに匹敵する移動度25 cm2/VsのpチャンネルTFTを実現させた。さらに、IGZO TFTと組み合わせることで非常に優れたCMOSとして機能することが確認できた。また、今回開発したp型半導体材料は鉛などの有害物質を含まないため、環境負荷や人体への健康影響が小さいことも特徴である。

本研究成果はドイツ科学誌「Advanced Science」に2021年12月22日付で公開された。



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