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2019. 11.28 貴金属使わずアンモニア合成触媒となる新物質発見

東京工業大学 物質理工学院 材料系の鯨井純(修士課程1年)、元素戦略研究センターの北野政明准教授と細野秀雄栄誉教授らは貴金属を使わずに低温でアンモニア合成活性を示す物質を見いだすことに成功した。ペロブスカイト型酸化物(BaCeO3)の酸素の一部を窒素や水素(ヒドリドイオン)に置き換えた新物質「BaCeO3xNyHz」の合成により実現した。

BaCeO3のような金属酸化物だけではアンモニア合成触媒の活性を示さないためルテニウムなどの貴金属ナノ粒子を表面に固定していたが、BaCeO3-xNyHzはルテニウムなどを固定しなくても触媒として働くことを解明した。さらにBaCeO3-xNyHz表面に鉄やコバルトなど安価な金属ナノ粒子を固定すると、ルテニウム触媒より低温で優れたアンモニア合成活性を示すことも見いだした。

近年、温和な条件下で高いアンモニア合成活性を示す触媒としてルテニウム触媒の開発が盛んだが、希少で高価な金属のルテニウムを用いない新触媒技術として重要な成果であり、アンモニア合成プロセスの大幅な省エネルギー化に繋がるものである。また詳細な反応メカニズム解析の結果からBaCeO3-xNyHz上の窒素および水素(ヒドリドイオン)の働きにより、不活性な窒素分子を活性化し、低温で優れたアンモニア合成活性を実現していることも明らかにした。

掲載誌:Journal of the American Chemical Society
タイトル:Low-Temperature Synthesis of Perovskite Oxynitride-Hydrides as Ammonia Synthesis Catalysts(アンモニア合成触媒のためのペロブスカイト型酸窒素水素化物の低温合成)
著者:Masaaki Kitano, Jun Kujirai, Kiya Ogasawara, Satoru Matsuishi, Tomofumi Tada, Hitoshi Abe, Yasuhiro Niwa, Hideo Hosono

DOI:10.1021/jacs.9b10726

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