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2019. 05.24 計算科学と実験で新機能物質(MAX相)を発見

東京工業大学 元素戦略研究センターの細野秀雄栄誉教授、多田朋史准教授、Junjie Wang特任助教(現 西北工業大学教授)、Tian-Nan Ye特任助教、Jiazhen Wu研究員らのグループは、与えられた化学組成から安定な結晶構造を第一原理計算で探索する手法と実験による合成、キャラクタリゼーションにより、Ti2InB2(チタン・インジウム・ホウ素)という新物質の創製に成功した。この物質はMAX相(M:遷移金属、A:pブロック元素、X:窒素(N)または炭素(C))というセラミックスと金属の性質をもち、新しい機能材料として関心を集めている物質群に分類できる。MAX相でX=N、C以外で見出されたのは初となる。また、この物質を真空中で加熱すると、Inが選択的に蒸発し、元の結晶構造をほとんど保持した層状の結晶TiBが得られた。この物質は、MXene(複合原子層物質)と呼ばれる2次元構造を有する新物質であることが分かった。得られたTiBは、計算によるとLiやNaイオン電池のアノード電極の材料として、よく知られたMXene物質Ti3C2(炭化チタン)よりも優れた特性を持つことが示された。

研究成果は5月24日に英国科学誌「Nature Communications(ネイチャー・コミュニケーションズ)」に掲載された。

掲載誌:Nature Communications
タイトル:Discovery of hexagonal ternary phase Ti2InB2 and its evolution to layered boride TiB(六方晶三元化合物Ti2InB2の発見と層状ホウ化物TiBへの展開)
著者: Junjie Wang, Tian-Nan Ye, Yutong Gong, Jiazhen Wu, Nanxi Miao, Tomofumi Tada, and Hideo Hosono
DOI:10.1038/s41467-019-10297-8



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