このような背景の中、東京工業大学の細野 秀雄 教授、戸田 喜丈 特任講師らのグループは、弘前大学の石山 新太郎 教授、福井大学の出原 敏孝 特命教授、パシフィックノースウェスト国立研究所(PNNL)のピーター・スシュコ 博士らと共同で、石灰(CAO)とアルミナ(AL2O3)から構成される化合物12CaO・7Al2O3(以下、C12A7)がテラヘルツ波を吸収し、容易に視認できる可視光に変換できることを見出しました。この特性は、ナノサイズのケージ中に閉じ込められている酸素イオンの振動がテラヘルツ波を吸収することにより誘起されるため生じることが分かりました。酸素イオンは狭いケージの中で強制的に振動させられることにより、ケージの内壁と繰り返し衝突し、励起され発光します。C12A7はアルミナセメントの構成成分の一つで、安価で環境にやさしい物質です。室温・空気中で安定な電子化物は、そのケージ中の酸素イオンを電子で置き換えることで初めて実現するなど、いろいろな機能が見出されてきました。それらの機能に加えて今回、遠赤外光の可視光変換という新しい機能が見出されたことになります。
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