東京工業大学 物質理工学院の吉松公平助教と大友明教授は、物質・材料研究機構と共同で、光触媒材料として知られる二酸化チタンの類縁化合物である七酸化四チタン(Ti4O7)とガンマ型の五酸化三チタン(γ-Ti3O5)で超伝導が発現することを発見しました。
研究グループは、パルスレーザ堆積法と呼ばれる手法を用いて、高温・強還元の環境下で酸化チタンの薄膜合成を行いました。大型放射光施設SPring-8での高輝度放射光X線回折実験で、合成した薄膜の組成・結晶構造をTi4O7とγ-Ti3O5と決定しました。また、電気抵抗率の温度依存性から極低温で電気抵抗がゼロになる超伝導現象が発現することを見出しました。これらの超伝導は、過去に理論的に予測されていながら、実験的には実証されていないバイポーラロン超伝導である可能性が考えられます。
今回発見した超伝導体の最高転移温度は、液体ヘリウム温度を超える7ケルビンであり、安価で安定な酸化物超伝導体として応用が期待されます。今回の研究成果は、英国の科学誌ネイチャー(Nature)の姉妹紙のオンラインジャーナル「サイエンティフィック リポーツ(Scientific Reports)」に10月2日に公開されました。
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