東京工業大学 元素戦略研究センター(センター長 細野秀雄教授)の清水荘雄特任助教と物質理工学院兼同センターの舟窪浩教授、東北大学 金属材料研究所の今野豊彦教授と木口賢紀准教授、物質・材料研究機構 技術開発・共用部門 坂田修身ステーション長らの研究グループは、スマホやパソコンのトランジスタ(スイッチ)に使われている酸化ハフニウムを基本組成とした、強誘電体の電源を切った時に貯められる電気の量や、使用可能な温度範囲といった基礎特性を解明した。
結晶方位を制御した単結晶薄膜を電極上に作製することにより、これまで明らかになっていなかった特性の解明に成功した。その結果、酸化ハフニウム基の強誘電体が従来使用されてきた強誘電体に匹敵する特性を有することが明らかになった。強誘電体を用いたメモリーは、交通機関の定期券等に使用されている非接触式ICカード(電子マネー)として実用化されている。今回の成果によって明らかになった優れた特性と、これまでの物質では不可能であった薄膜化しても特性が劣化しない特性を活用すれば、メモリーの飛躍的な高密度化が期待できる。
今回の研究成果はネイチャー誌の姉妹誌である学術誌「サイエンティフィックレポート(Scientific Reports)」オンライン版に9月9日付で掲載された。