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国立大学法人 東京工業大学 国際先駆研究機構 元素戦略MDX研究センター International Research Frontiers Initiative (IRFI) MDX Research Center for Element Strategy (MDXES)
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2023.11.30 超塩基に匹敵する強塩基性を酸窒化物で実現

研究トピックス

2023.11.30 超塩基に匹敵する強塩基性を酸窒化物で実現

東京工業大学 国際先駆研究機構 元素戦略MDX研究センターの宮﨑雅義助教、北野政明教授、細野秀雄栄誉教授らは、窒素イオンと酸素空孔が隣接した構造を有する六方晶BaTiO3-xNyが、超塩基触媒に匹敵する高い塩基性を示すことを見出した。

炭素―炭素の結合形成やビニル基の転位反応を触媒する塩基性酸化物は、酸素原子が塩基点として作用するため、酸素イオンとの電気陰性度の差が大きいアルカリ金属やアルカリ土類金属を用いて触媒が開発されてきた。本研究では酸素イオンではなく、酸素空孔に隣接した窒素イオンを塩基点とした塩基触媒を開発した。

本研究で合成した六方晶BaTiO3-xNyは、−2価の酸素イオン(O2-)を−3価の窒素イオン(N3-)で置換するので、酸素空孔が生成し、それが窒素イオンに隣接している。酸素空孔にトラップされた電子は、隣接した窒素イオンと相互作用し、より電子密度が高く、エネルギーが高い準位を形成する。それによって、極めて高いルイス塩基性が発現する。これにより、この物質は六方晶BaTiO3-x酸化物、あるいは酸素空孔を含まない窒化物と比較して、二酸化炭素やクロロホルム吸着、クネフェナーゲル縮合反応に対して

高い触媒作用を示した。窒素イオンとそれに隣接した酸素空孔を用いた塩基触媒設計は六方晶BaTiO3系に限らず、これまで報告されている塩基触媒に対しても適用でき、普遍的な触媒設計指針を与える研究成果である。

研究成果は米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society(ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサイエティー)」オンライン速報版に11月21日付で公開された。

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