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国立大学法人 東京工業大学 国際先駆研究機構 元素戦略MDX研究センター International Research Frontiers Initiative (IRFI) MDX Research Center for Element Strategy (MDXES)
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2023.07.28 貴金属を使わず、観ずに安定かつ高性能なアンモニア分解触媒を開発

研究トピックス

2023.07.28 貴金属を使わず、観ずに安定かつ高性能なアンモニア分解触媒を開発


東京工業大学 物質理工学院 材料系の小笠原気八大学院生(当時)、同 国際先駆研究機構 元素戦略MDX研究センターの北野政明教授、宮﨑雅義助教、細野秀雄特命教授らは、六方晶チタン酸バリウム(h-BaTiO3−x)中の酸素イオン(O2−)の一部を窒素イオン(N3−)で置き換えた酸窒化物(
h-BaTiO3−xNy)にニッケル(Ni)を担持したNi/h-BaTiO3−xNy触媒を開発し、既存のNi触媒に比べてアンモニア分解反応の動作温度を140℃以上低温化することに成功した。

Ni/h-BaTiO3−xNyの触媒活性は、当グループが以前に報告した世界最高レベルのアンモニア分解活性を示すカルシウムイミド(CaNH)にNiを担持したNi/CaNH触媒に匹敵することが明らかとなった。Ni/CaNH触媒は、高いアンモニア分解活性を示すが、大気や水中で速やかに分解されて失活してしまうことが大きな課題であった。

一方、今回開発したNi/h-BaTiO3−xNy触媒は、水に暴露した後でも触媒性能が低下せず、構造も維持されることを明らかにした。本触媒では、h-BaTiO3−xNyの表面に存在する窒素空孔で、アンモニア分子が活性化されるため、Ni以外の非貴金属(FeやCo)に対しても同様に優れた促進効果を示すことが分かった。今回の研究は、化学的安定性の高い酸窒化物をアンモニア分解触媒の担体材料に応用することで、高活性かつ高耐久性なアンモニア分解触媒の設計が可能であることを実証したことになる。

研究成果はドイツ科学誌「Advanced Energy Materials(アドバンスト・エナジー・マテリアルズ)」オンライン速報版に7月25日付で公開された。

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