分子軌道と量子輸送

有機分子と金属電極との接合は化学結合を介して行われるので、比較的強固な接合構造の保持が想像できるが、それでも吸着位置のゆらぎ、それに伴う界面準位・ダイポールの変動など、有機分子/金属固体界面の電子状態は複雑なものとなる(分子接合の具体的イメージとして例えば右図:アビラム・ラトナーダイオード)。ただ、有機分子を電子デバイスとして利用する際、分子上には必ずしも小さくはない電流が流れるわけであり、分子上の電流パスと分子の電子状態との相関を明らかにすることは有機分子/金属界面設計における出発点とすべき最重要課題である。本稿筆者はパイ電子系有機分子に電極を接続した状態での電流計算を非平衡グリーン関数計算により行い、分子のフロンティア軌道位相から電流特性が予測できるフロンティア軌道ルールを見出した。ヒュッケル分子軌道という最も単純なモデルで導かれた本ルールは、第一原理計算レベルでの検証を行った結果、簡便な予測法として十分に有用な内容を提供していることが確認されている。

参考となる文献(学術論文リスト):6-11, 13, 24

スピン輸送とスピンダイナミクス

核スピンに関しては「量子演算デバイス」を参照

局在電子スピン:Under construction

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